一般に、不動産の運営管理は専門の管理会社に委託することが多いようです。 しかし、運営管理の内容はオーナーとしてしっかり把握しておきましょう。 |
|||||||||||||||||||||||||
●不動産管理会社 | |||||||||||||||||||||||||
業務内容 | 不動産管理会社の業務には、清掃業務や設備機器のメンテナンスなどを行う「建物管理」と、入退去手続きや家賃回収業務を行う「入居者管理」があります。 また、建物管理と入居者管理を一括で請負う一括管理と、これらを個別に請負う部分管理という区別もあります。 |
||||||||||||||||||||||||
管理方式 | ・管理委託方式:賃貸借契約はオーナーと入居者との間で結ばれ ますが、家賃の集金や修理業者手配、修繕・資金計画などは管 理会社が代行し、管理料(家賃総額の5〜10%前後)を徴収す る方式です。 ・一括借上げ(サブリース)方式:管理会社が建物を一棟丸ごと 借り上げ、管理会社と入居者との間で賃貸借契約を結びます。 入居率の悪化などのリスクは管理会社が負うため、管理料は家 賃総額の15〜20%前後になります。 ・自己所有方式:建物を(オーナー親族の)管理会社が買取り、 家賃収入は管理会社(親族に分散)に、地代はオーナーに支払 うという形式が多いようです。節税効果の高い方式です。 |
||||||||||||||||||||||||
一括借上げ契約 について |
このサービスの多くは、2〜3年ごとに家賃設定が見直される契約内容になっています。つまり、空室が埋まらず、収益性が低いとみなされると、家賃は下げられてしまいます。 このサービスを利用するには、事前に十分な説明を受け、納得してから契約した方が無難と言えます。 |
||||||||||||||||||||||||
メリット デメリット |
管理会社に管理を委託するメリットは、 ・事故やトラブルがあった際の対応が早く、保険適用手続きな ど、慣れない手続きも代行してもらえる。 ・家賃滞納や隣室トラブルなど、問題が起こった際に入居者と 直接的な接触を持たずに問題解決ができる。 ・定期的な検査から大規模修繕工事などのマネジメントまで、 専門知識が必要な業務も任せられる。 ・親族で管理会社を設立した場合、所得税や相続税の節税対策 に有効。 などがあります。 一方、デメリットもあります。 ・管理会社に管理料を支払う必要がある。 ・管理会社の管理手法、管理能力にバラつきがあり、コスト調 整能力や、実際の管理内容をチェックする必要がある。 |
||||||||||||||||||||||||
●建物管理のポイント | |||||||||||||||||||||||||
建物管理の原則 | 建物管理は、手入れを怠らず、建物をいつまでも綺麗に保つことが原則です。現在の建築技術からすると、適切なメンテナンスさえしておけば、建物は50年以上使用できます。 | ||||||||||||||||||||||||
清掃 | 主に日常清掃と定期清掃(毎月1回〜年2回程度)があります。 ・日常清掃:窓拭き、共用廊下やゴミ置場の清掃、電球の交換 や植栽の手入れ、簡単な補修も行います。 ・定期清掃:専門業者による床面の水洗い、高所清掃、排水管 清掃、受水槽清掃、植栽剪定など。 |
||||||||||||||||||||||||
トラブル対応 | ・エアコンや給湯器といった設備の故障 ・水漏れ、排水管詰まりなどの水のトラブル ・ガラスの破損やドアの開閉不良 いずれのトラブルも、入居者にとっては日常生活に大きな支障をきたすトラブルです。管理会社を通じ、当日中に修理業者を呼ぶなど、迅速な対応を心がけましょう。 但し、入居者の使用法に問題がある場合は、入居者に修理費用を負担してもらいます。 |
||||||||||||||||||||||||
設備保守・ 点検報告義務 |
建築設備、消防設備、エレベーター、貯水槽などの設備機器には、年1〜2回程度の法定点検と、行政庁への報告書の提出が義務付けられています。万が一報告書を提出しなかった場合、行政庁による指導や罰金が課されます。
また、設備メーカーなどによる定期保守点検も必ず行い、故障トラブルの未然防止に努めることも大切です。 定期点検の例(規模により免除されるものもあります)
|
||||||||||||||||||||||||
建物・外構補修 | 建物や設備は、築数年を過ぎた頃から、補修や修理が必要な箇所が出てきます。外壁のタイルや塗装が剥れたり、植栽が倒れ、フェンスが折れたりすることもあります。 これらは、美観上の問題だけでなく、建物の使用に支障をきたしたり、事故の原因になることもありますから、出来るだけ早い時期に補修工事を行いましょう 。 |
||||||||||||||||||||||||
大規模修繕工事 | 築10〜15年を経過すると、補修や修理が必要な箇所が増えるだけでなく、損傷の激しい部分や、更新が必要な設備が出てくるようになります。これらの補修を個別に行っていると、一年中建物のどこかで補修工事を行っているような状態になり、入居者や近隣者からの印象を悪くしてしまいます。 そのため、一定の年数ごとに建物全体を一括してメンテナンスする大規模修繕工事が必要になります。 外壁タイルの全面改修、屋上の防水工事、給湯機・給排水管の更新工事、非常階段や手摺りの鉄部塗装など、建物のあらゆる部分に手を掛けます。 |
||||||||||||||||||||||||
長期修繕計画 | 建物の維持管理には、日常清掃や日々のメンテナンスに属するものから、一定年数ごとに行う大規模修繕工事、地震や台風といった災害による補修工事など、様々なメンテナンスが必要になります。 予想以上に費用が掛かることも多いので、分譲マンションで採用されるような適切な長期修繕計画を立て、修繕積立金などの形で、ある程度の予算を事前に準備しておきましょう。 |
||||||||||||||||||||||||
●入居者管理のポイント | |||||||||||||||||||||||||
入居者管理の原則 | 入居者管理の原則は、入居者にルールを守らせ、丁寧に使ってもらうことに尽きます。入居者が建物を大事に使えば、建物の維持管理費用が軽減され、経営効率の向上にも繋がります。 | ||||||||||||||||||||||||
入居者ルール | 入居者による迷惑行為には、様々なものがあります。 ・ゴミの分別や収集日を守らない ・深夜に大音量で音楽を流す ・勝手に部屋の一部を改造する これらは、放置しておくとエスカレートしていくのが常です。 ゴミのルールに関する冊子の配布や、迷惑行為の例示など、定期的に入居者へ注意喚起を行い、入居者にルールを守るよう働きかける必要があります。 |
||||||||||||||||||||||||
入居者募集 | 一般には(管理会社経由で)不動産仲介業者に依頼します。 募集を掛けた部屋だけでなく、建物自体の長所・短所をしっかり把握しておき、仲介業者にうまくアピールしましょう。 |
||||||||||||||||||||||||
家賃管理 | 入居者ごとに月々の家賃支払い状況を把握し、滞納があった場合には、速やかにその入居者に連絡します。 また、税務申告時には、家賃収入を書面で報告する必要がありますので、管理会社から届いた家賃支払い報告書などの書類は大切に保管しておきましょう。 |
||||||||||||||||||||||||
入退去管理 | 入居申込み時には、仲介業者からの申込者データを確認し、問題がない人物かどうかを確認します。 (入居手続き自体は仲介業者が行います) 退去時には、専門の査定業者に室内の破損箇所などを点検させ、清掃業者に室内の清掃・修繕を依頼します。 また、オーナー自ら査定に同行し、入居者が問題を起こしやすい箇所を認識しておくことも重要です。 尚、退去に伴う補修工事の費用負担は、居住年数などによって入居者側とオーナー側での負担割合が変わってきます。 |
||||||||||||||||||||||||
トラブル対応 | 隣室の騒音や臭い、ゴミの出し方に関するクレームなど、時には入居者同士のトラブルも起こります。 クレームがあった際には、速やかに原因を突き止め、管理会社経由で連絡を取ったり、入居者全員に注意喚起の連絡を行うなどの措置をとります。 |