時間が経つにつれ、建物の老朽化は進行し、次第にその時代が求める条件・ 性能を満たさなくなっていきます。 ここでは、建物の長寿命化を計るためのリフォームを中心に取り上げます。 |
|
●リフォームの基本 | |
リフォームの 必要性 |
省エネやゴミの削減といった環境への配慮は、事業運営や我々の日常生活において、今や当然の義務となっています。 建物においても、壊さずに長く使い続ける =「長寿命化」という視点が求められています。 そこで必要になるのが、リフォームです。 建替えではなくリフォームを選択することで、省エネや産業廃棄物の大幅な削減が可能になります。 また、コスト面の負担軽減も見逃せません。 |
リフォームの種類 | リフォームには、大きく分けて2つの種類があります。 ・建物のハード(機能)を改善する工事 設備の更新(取替)や外壁の全面改修、耐震補強など ・建物のソフト(使いやすさ)を改善する工事 間取りの変更、室内の模様替えなど |
いろんな名称 | リフォーム、リノベーション、改修、修繕・・・ 建物の修理や内外装の変更には、様々な名称が使われます。どれも似たような意味で使用されているようですが、どんな違いがあるのでしょうか? ・リフォーム 実は和製英語です。全面的或いは部分的な内外装の改装工事 や、間取り変更、劣化した建物・設備の機能回復、更新など 建物を改善する行為全般に使用されます。 ・リノベーション リフォームとリノベーションを明確に使い分けている業者も いますが、リフォームとリノベーションは同義語です。 リフォームという英語は存在せず、これに相当する英語がリ ノベーションなのです。 ・リニューアル 一般的には、店舗などが行う内外装の改装や改造工事を指し ます。 ・リファイン 最近使われるようになってきた言葉です。 リフォームと比べ、「より一層洗練する」といった意味あい で使用されます。 ・模様替え 間仕切りの位置を変えたり、室内外の仕上げ材などを新しく 張替えたりすることをいいます。 ・補修 問題が生じた箇所を、実用上支障がないレベルまで回復させ ることをいいます。 ・修繕 経年劣化や問題が生じた箇所を、新築当初のレベルまで回復 させることをいいます。 ・改修 経年劣化や問題が生じた箇所を、現時点で要求されるレベル にまで引き上げることをいいます。 ・耐震改修・補強 建物の躯体、構造部分の耐震性を向上させ、建物の強度を高 める工事のことをいいます。 ちなみに、一定の条件を満たせば、耐震診断、耐震改修とも 国や自治体からの助成金が受けられます。 |
●リフォームの時期 | |
築数年〜 (補修・修理) |
建物や設備は、築数年を過ぎた頃から、補修や修理が必要な箇所が出てきます。外壁のタイルや塗装が剥れたり、植栽が倒れ、フェンスが折れたりすることもあります。 これらは、美観上の問題だけでなく、建物の使用に支障をきたしたり、事故の原因になることもありますから、出来るだけ早い時期に補修工事を行いましょう 。 |
築10〜15年 (大規模修繕) |
築10〜15年を経過すると、補修や修理が必要な箇所が増えるだけでなく、損傷の激しい部分や、更新が必要な設備が出てくるようになります。 そのため、一定の年数ごとに建物全体を一括してメンテナンスする大規模修繕工事が必要になります。 ちなみに、分譲マンションなどでは、大規模修繕工事は長期修繕計画を基に行われます。予め修繕積立金などの形で費用を準備しておく場合が多いようです。 |
必要な時期に・・・ (間取り変更など) |
流行や時代の変化によって、部屋の広さやデザインに対するニーズが変化する場合があります。また、建物の周辺に大学などの大きな施設ができると、入居希望者の年齢層や所得層、業種などが変化し、同様の変化がおこることがあります。 ニーズが変化したら、それに応えなければ生き残れません。 一般には、10〜15年毎に行う大規模修繕工事などに併せて行うことが多いようです。 |
その他 (耐震補強など) |
法律や条例の改正などにより、建物の耐震基準が厳しくなったり、建物のデザインに規制がかけられたりすることがあります。 強制力が無いもの(努力義務)もありますが、決められたルールや期限は守らなければなりません。 ちなみに、東京都では都内の幹線道路沿いにある一定規模以上のビルに対し、耐震診断の義務化を検討しています。 (2011年3月1日現在) |
●リフォームとコスト | |
どのくらい かかるの? |
リフォームを行う際に気になるのがコストです。 マンションを例にとると、 ・バリアフリー化 :数十万〜数百万円/戸 ・1世帯(3LDK)のトータルリフォーム :数百万〜千数百万円/戸 ・給排水設備の改修:数百万〜数千万円/棟 ・大規模修繕・改修:数千万〜数億円/棟 上記はあくまでも目安であり、規模や仕様、目的によってかなりの増減があります。 適切な長期修繕計画の策定のほか、事前に専門コンサルタントなどに相談し、建物の改善箇所やコストの抑制法など、目的とコスト管理を明確にしてから工事を行うことも大切です。 |
資金の調達 | 大規模修繕などの規模の大きな工事の場合、適切な長期修繕計画に基づく修繕用資金(修繕積立金)が欠かせません。しかし、積立金だけでは賄えない場合も多いようです。 この場合、住宅金融支援機構や民間金融機関から融資を引き出す必要があります。 住宅金融支援機構の融資 ・賃貸住宅リフォームローン 賃貸マンション経営者を対象にしたローンです。 一戸あたりの面積、構造に一定の条件が課されますが、バリア フリー工事の場合は条件が緩和されます。 ・マンション共用部分リフォーム融資 分譲マンションの共用部リフォームに適用されるローンです。 管理組合の総会決議が必要で、修繕積立金を返済金に充当する などの条件があります。 ・このほか、耐震改修やバリアフリー工事のみに適用されるリフ ォーム融資というローンもあります。 いずれも、民間に比べて金利が低く設定されています。 また、耐震改修の場合は優遇金利が適用され、一定の条件を満 たせば自治体の助成制度も受けられます。 民間リフォームローンの特徴 ・新築時のローンよりも金利が高い ・無担保でも、融資金額は最大1000万円前後、借入れ期間は最 長で15年(担保をとる場合は金額、返済期間とも緩和される 場合が多いようです) ・一定の条件を満たせば、住宅ローン控除が受けられる ・省エネや耐震改修工事の場合は金利が優遇され、自治体からの 助成制度も受けられます。 |