不動産事業は、何十年というスパンで全体のスケジュールを見ていかなくては なりません。事業計画や建設工事だけでなく、十数年後に控える大規模な修繕 工事、リノベーションまで把握しておきましょう。 |
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●計画・事前準備の段階 | |
新しく不動産(土地)を取得した場合、取得した日から60日以内(東京都は30日以内)に、管轄の税務所へ不動産取得申告書を提出します。(不動産取得税の控除に必要です。) | |
まずは専門家に相談してみましょう。 建築家・設計事務所・不動産コンサルタントなどにメールや電話で連絡を取ってみます。その際、敷地測量図や都市計画図(各行政庁で入手可能)などの資料を準備しておきましょう。 |
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設計担当者が現地や市役所などに出向き、どんな規制があるのか、どんな手続きが必要なのかなどを調べます。その上で、どんな大きさの建物にするか、どんな用途(マンション、テナントビル、それ以外)に向いているのかなどを分析します。 | |
基本調査のデータを踏まえ、建築基準法や各自治体の条例等を検討しながら、建物の大きさ、デザインなどを決めていきます。事業として成立するかどうかも検討します。 | |
事前に金融機関に相談しておき、借入れを申込みます。 審査に通過したら、金融機関から融資証明書や確約書を発行してもらいましょう。 |
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設計プランに合意したら、設計事務所と設計契約を結びます。
まずは,建設計画の概要を近隣住人の方々に知らせるため、現地の目立つ所に建設計画の概要を記載した看板を立てます。 その後、説明会などで近隣住民の方々に建設予定の建物の概要を説明します。 上記と並行して確認申請用の図面(意匠図、構造図など)を作成していきます。設備図や構造図、構造計算書の作成は、各専門業者に依頼します。 また、行政庁の各部課に、ゴミや省エネ、日影対策などの届出書類を提出します。普通は設計事務所や施工会社が建築主の代理人として申請します。 この他、早めに地盤調査を行っておき、弱い地盤の場合には、地盤改良工事を行います。 |
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どんな建物を建てるのか、法律や条令に違反していないかなどを担当行政庁や指定確認検査機関で確認してもらいます。 これを確認申請といいます。 申請後、許可が下りる(確認済証交付)までに数ヶ月かかることもあります。 確認申請の審査期間中に、実施図面(仕上げ材や詳細な寸法まで描いた図面)を作成していきます。 工事を担当する施工業者は、この実施図面を基に工事内容や工事費用の見積りを行います。 通常、数社の見積り金額,内容を比較した上で、工事を担当する施工業者を決定します。 大きな金額の契約になりますから、契約書の内容は十分に確認しましょう。契約後に発生するトラブルは避けたいものです。 ・工事請負契約書 ・契約約款 ・見積書(工事費内訳書) ・設計図書(仕様書、設計図等) などを受け取ります。 |
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地鎮祭を行い、いよいよ工事着工です。 神主さんと建築主、設計者、施工業者などが参加します。 多くは建設会社の担当者が仕切ってくれますが、玉串料やお供え物などの費用は建築主が負担するのが通例です。 その後、設計者、現場所長などから、敷地境界線や建物の配置、水道配管の場所などの説明を受けます。 |
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通常週1回のペースで定例会議が行われます。 工事現場の進捗状況の確認や、設計の変更、トラブル対応などが報告、協議されます。後々のトラブル防止のためにも、この会議には出来るだけ参加しましょう。 進捗状況、追加工事費用の有無などはしっかり把握し、変更や追加の内容は必ず書面で残しておきましょう。 工事が始まったら(始まる前から)、周辺の不動産業者を廻り、入居者の募集を始めます。 目標は竣工(工事完成)と同時に満室スタートです。 設計事務所や施工会社が入居者仲介まで行っている場合もありますので、積極的に利用しましょう。 |
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行政庁や指定確認検査機関による完了検査の後、建築主自らが検査に立会い、施主検査が行われます。 その後、設計者、現場所長から説明を受け、竣工図書を受取り、鍵の受渡しを行って、引渡しが完了します。 竣工図書には以下のような書類が含まれます。 ・鍵引渡書、同受領書 ・建物等引渡書、同受領書 ・確認通知書、中間・完了検査済証 ・建物工事保証書 ・工事報告書、監理報告書 ・工事(下請け)業者、緊急連絡先等一覧表 ・竣工図、竣工写真(竣工から数週間後の場合もあります) |
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建物が完成すると、いくつかの届出が必要になります。 届出方法は、書類の提出先(税務署など)で教えてくれます。 ・事業開始届、不動産取得申告書(建物) 建物完成後1ヶ月以内に、管轄の税務署に提出します。 ・所得税の青色申告承認申請書 建物完成後2ヶ月以内に、管轄の税務署に提出します。 ・建物の表示登記 建物完成後1ヶ月以内に、法務局で登記申請を行います。 (所有権保存登記もお早めに) 上記以外の提出書類も、早めの提出を心がけましょう。 |
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目標は満室スタートですが、空室がある場合には、オーナー(建築主)自らが仲介業者をまわってアピールしましょう。入居が決まったら、仲介してくれた不動産業者に御礼を忘れずに。 | |
毎年2月中旬〜3月中旬に、インターネットか管轄税務署で確定申告手続きをします。(不動産所得が20万円を超える場合) 入居者管理、建物管理は、一括して管理会社に委託することが多いようですが、管理内容はできるだけ詳細に把握しておきましょう。補修工事やトラブルの際、適切な対応ができます。 毎日行う日常清掃のほか、エアコンや給湯機の故障対応、外壁タイルの補修などは随時行います。 また、家賃滞納などの入居者トラブルの対応も行います。 この他、定期清掃は月に1回、設備機器の定期検査は年に1〜2回程度行われます。 |
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どんなに日常メンテナンスをしっかりやっていても、築6〜8年程で設備などの小規模な修繕(雨どいの補修、ペンキの剥落など)が必要になってきます。 その後、築10〜15年で大規模修繕(屋根、外壁の全面改修、設備の更新など)が必要になってきます。 予想以上に費用が掛かることも多いので、適切な長期修繕計画を立て、修繕積立金などの形で、ある程度の予算を事前に準備しておきましょう。 この他、時代の流れで生活スタイルに変化が生じたり、建物周辺で大規模な再開発事業が実施されたりすると、環境や需要の変化に応じた設備や間取りなどの変更が必要になってくることもあります。 |